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ジャーナル

株式会社MJS Finance & Technology | エムエフティー(MFT)

これからの会社の明暗を
分ける経営のデジタル化

テレワーク勤務で会社に起きた問題は何?

新型コロナウイルスの影響が長期化していますが、感染が拡大して緊急事態宣言が出た当初から、テレワークやリモートワークを本格的に導入した企業は少なくありません。
しかし、デジタル化が充分に進んでいなかったり、業務を行ううえで支障を感じている社員が多かったりすると、テレワークのメリットを活かせていない可能性があります。
そんな企業は、テレワーク勤務のどのようなところに問題があるのでしょうか?また実際にテレワークの強みを最大限に活かして、業務を伸ばしている企業はどのように導入しているのでしょうか?
国土交通省や日経BP 総合研究所が、テレワークやリモートワークに関する調査を行っています。今回はテレワーク導入にあたって業務がデジタル化されていないことで起きた問題や、業績の悪化以外に生じる非デジタル化のデメリットについてご紹介していきます。

会社の書類をすぐに確認できない、コミュニケーションが困難

まずテレワークを実際に行った人たちが、どのようなときに困難を感じたのか見ていきましょう。
(引用:国土交通省(2020)「平成31年度(令和元年度)テレワーク人口実態調査」)

国土交通省が2020年に発表したテレワーク人口実態調査によると、「テレワークを実施してみて問題があったこと」について、「会社でないと閲覧・参照できない資料やデータなどがあった」が26.8%と最も多くなっています。
次に「営業・取引先等との連絡・意思疎通に苦労した」・「同僚や上司などとの連絡・意思疎通に苦労した」など、会社の内外問わずコミュニケーションが困難になったと答えた割合が18.9%となっています。

また2020年2月にアドビ株式会社が行った「テレワークを実際に実施して感じた業務上の課題」に関する調査でも、「会社にある紙の書類をすぐ確認できない」という回答が39.6%にも上っています。
続いて「プリンターやスキャナーが無い」といった設備に関する問題や、「自分以外の仕事の進捗が把握しづらい」というコミュニケーションに関する困難を感じた人が、こちらでも多かったことがわかりました。

(引用:アドビ「テレワーク勤務のメリットや課題に関する調査結果【2020年】」)

そもそも、ネットワーク環境に問題がある

またテレワークを行ってきた会社以外の場所が、仕事をするために十分なネットワーク環境を満たしていないといったハード面の不足を感じた人も多くいます。

(引用:WorkVision(ワークビジョン)「テレワークに関する2分間アンケート」)

株式会社WorkVision(ワークビジョン)が2020年5月15日~29日に実施した調査によると、テレワークを実施して感じた課題には、「テレワークのためのネットワーク環境が十分でない」が最も多く回答されていました。2番目が、「テレワークで対応できない業務が多い」です。
また「パソコンやスマートフォンなどハードウエアが不足」や「セキュリティ面の不安がある」といった、会社以外の場所がテレワークを円滑に行えるレベルに達していないという回答も、多く寄せられていました。

急ぐ必要があるのは「業務の自動化と効率化」

新型コロナウイルスの影響が長期化するなかで、多くの企業がテレワークの重要性をより感じています。

企業の新しい行動様式の中で、With/アフターコロナ時代に生き残るために重視していること(複数回答可)

(引用:日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ)

約1万社を対象にアンケート調査をおこなった「デジタル化実態調査(DXサーベイ)2020年版」では、企業が最も重視しているのは「テレワークの実現」が50.8%で、ついで「オンライン商談・サービス(非対面接客・営業)の実現」が33.8%という結果になりました。

With/アフターコロナ時代に生き残るために取り組む経営課題の緊急度

(引用:日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ)

また同調査では、新型コロナウイルスの影響を受けた企業が緊急で対応すべき経営課題として、「業務の自動化/効率化」を挙げる回答が多かったのが興味深いです。
既存の業務をより円滑にしたいと考えている企業が多い一方、「新しい市場への参入」や「新しい製品・サービスの創出」の緊急度は低いという結果が出ました。つまり、堅実に生き抜く選択肢をとった企業が多いことがわかります。

創業以来最高益を達成した会社はテレワーク率97%

これらの調査内容からも、既存の業務内容を効率的にこなして、スムーズなコミュニケーションを行うには、テレワークの障害を取り除くことは不可欠と言えるでしょう。実際にテレワーク97%を達成した東証一部上場のアステリア株式会社は、2020年1月末から6月末のテレワーク期間中に生産性が大幅に向上しています。社内調査では全社員の47%が「生産性がとても上がった」と回答しており、第2四半期には売上収益が2.1%増・営業利益3.2億円増で、創業以来の最高益を達成しています。
IT産業のアステリア以外にも、テレワークを含めた業務のデジタル化に対応した産業は、業績を伸ばしているところが少なくありません。一方でテレワークが導入しにくい医療や福祉業界は在宅勤務や時差出勤が難しく、一部でも導入できた法人が50%ほどと、ザイマックス総研が2020年に行った調査から判明しています。
そして、企業はデジタル化に真剣に向き合わないと、転職先の候補から漏れてしまう可能性が大きい点にも留意しておくべきでしょう。

テレワークができない会社では働きたくない!?

株式会社MS-Japanが2020年8月11日~17日に実施した「新型コロナウイルス流行による転職意識のアンケート調査」で、新型コロナウイルスの流行を受けて転職を考えている人により重視したい条件はどれか?という質問に対し、2位に「リモートワーク(在宅勤務)」が入っていました。

(引用:「新型コロナウイルス流行による転職意識のアンケート調査」株式会社MS-Japan)

デジタル化が遅れると良い人材も逃がす!?

今回は、新型コロナウイルスという企業にとって大きな時代の変化となったこの時期に、浮彫りになった問題と、経営のデジタル化が遅れることによって懸念される問題をあげてみました。
人が一か所に集まってコミュニケーションが取れない時代になり、書類の場所や必要な申請が遠隔でできない問題や求められるコミュニケーションスキルが変わっていくことが予測されます。
また、このまま新型コロナウイルスの影響がより長期化した場合には、デジタル化を進めておかないと、そもそも、優れた人材を手に入れるチャンスを逃してしまうかもしれません。
「安心して働けて、毎月安定した給料をもらえる職場」を探している人や、大きな節目ともいえるこの時期に新しい環境にチャレンジしたい積極的な人材などを、獲得できない可能性があります。
自治体によっては補助金を用意しているところや、デジタル化支援のサービスを提供している企業も多いので、この機会にぜひデジタル化や業務効率化の検討を外部の顧問税理士等に相談しつつ進めてみましょう。