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ジャーナル

株式会社MJS Finance & Technology | エムエフティー(MFT)

日本のデジタル化の今後と
デジタル庁の役割



2021年5月12日に、デジタル庁の設立などを定めた「デジタル改革関連法」が成立しました。これによって同年9月1日にデジタル庁が設立されます。

デジタル庁の設立に至った背景には、世界に比べて日本のデジタル化が大きく遅れていることがありました。国の管理システムが一元化されていないことにより、新型コロナウイルスのワクチンや特別定額給付金の配布に支障が出たことも指摘されています。

このデジタル庁によって「デジタル社会の実現」が本格的に始まると言われていますが、実際に私たちの暮らしにはどのような影響・メリットがあるのでしょうか?

今回は日本のデジタル化の問題点や、デジタル庁が取り組む施策が企業経営にも参考にできること、そして今後期待できる具体的なメリットについて解説していきます。

デジタル庁って何?

デジタル庁とは、デジタル改革関連法の可決によって2021年9月から始まる新しい庁です。世界の先進国と比べて遅れている日本における官民のデジタル化を推進し、「誰1人取り残さない、人に優しいデジタル化」を目的に掲げています。

具体的な役割は、国や地方公共団体などの情報システムを統括・管理し、重要なシステムを整備すること。マイナンバーなどのデジタル社会の共通機能を整備したり、行政手続きをオンライン化したりするなど、1人ひとりのニーズにあったサービスの提供が期待されています。

デジタル改革担当の中心は、情報通信技術(IT)政策担当の平井卓也氏。また事務方トップの「デジタル監」に、アメリカ・マサチューセッツ工科大学の研究所の所長を務めた伊藤穰一氏を起用して調整を進めています。

背景:現在の問題点

日本のデジタル化は、世界と比べてどのくらい遅れているのでしょうか? 

まず、身近なお金のデジタル化ですが、クレジットカードやQRコード決済などのキャッシュレス決済の現状は、世界の主要各国は40~60%なのに対し、日本は約20%にとどまっています。


(引用:経済産業省「キャッシュレスの現状及び意義」2020年1月)



また行政手続きの効率化や利便性の向上に役立つマイナンバーですが、サービスを受けるのに必要なマイナンバーカードの交付済率は2021年4月1日時点で28.2%と、国民の約4人に1人しか所有していない状態です。

これら以外にもまだデジタル化が充分に進んでいない部分として、印鑑やファックスの問題があります。行政手続きに必要な印鑑に関しては、「99%以上の認印の押印を廃止する」と2020年11月に河野規制改革相が発表しているものの、現状のお役所手続きにストレスを感じている人も多いようです。

全国20代以上の男女1,089名に実施した「行政手続きのデジタル化に関するアンケート」では、約7割の人が窓口や紙、ハンコによる行政手続きに「不便さを感じた経験あり」と回答しています。

(引用:株式会社トラストバンク「行政手続きのデジタル化に関するアンケート」)



また行政手続きがオンライン上で完結するサービスを、77.3%が「利用したい」と回答しており、デジタル化へのニーズが高まっていることもわかりました。

デジタル化を進めてシステムを統一できると、利用するユーザー(国民)がいつ・どこからでもサービスを受けることができるようになり、不便さによるストレスを感じにくくなるでしょう。

さらに行政手続きを提供する側にも、時間やコストの削減が期待できます。

「自治体における稟議や申請・承認業務の実態及びデジタル化への関心」についての調査では、自治体職員の約6割が稟議や申請・承認業務を紙ベースで行っていることがわかっています。

加えて紙で行うことについて以下のような課題が挙げられており、デジタル化によってこれらの課題が解決できれば、行政手続きがよりスムーズになることが容易に想像できます。

・「承認までのスピードが遅くなる」……59.5%

・「どこで承認がストップしているかがわからない」……50.0%

・「紙を印刷したりハンコを用意して承認するために出勤しなければならない」……47.0%


(引用:ワークフロー総研「自治体における稟議や申請・承認業務の実態及びデジタル化への関心」)

企業でもデジタル改革に取り組むべき

国や地方公共団体がデジタル改革で取り組む問題は、企業にも当てはまります。

部署ごとでバラバラに管理している情報を連携して一括管理することで、手続きや処理コストを削減できます。紙媒体からデジタルデータでの管理に移行できれば、目的の資料を探すのも簡単です。

また全体を把握できるので、新しいプロジェクトや業務の進捗状況、現状把握がスピードアップするのも大きなメリットです。人の手でデータを分析するのは時間や件数などの限界がありますが、AI技術などを活用することで、今までとは比較にならない大量のデータを分析することも可能です。

さらに社内だけでなく、社外(他社)との連携スピードを速めることで大きなメリットもあります。契約書などのやりとりや、技術の獲得、新しいアイデアを具現化するサポートなどの恩恵が受けられるでしょう。

すでにある、デジタル化で実現できていること

デジタル化を進めるとは言っても、「具体的には何から始めるといいのか?」と疑問に感じるかもしれません。

クラウドサービスなどすでにあるものでデジタル化した場合に、できることを10個挙げてみました。



・社員の入退社の打刻と給与計算の連携

・入社時の業務マニュアルの浸透促進

・業務日報、プロジェクト進捗管理の把握(特にプロジェクトは、社外メンバーも含めて効率化が可能に)

・社内・社外の情報共有をスムーズにするオンライン会議ツール

・名刺管理・顧客データを電子化して管理

・データの転記作業や入力などの単純作業の自動化

・ビッグデータの蓄積・分析

・会計処理や決算業務の省力化

・営業に関する業務プロセスの自動化

・カスタマーサポートのチャットボットによる省人化


上記の業務をアナログ作業(手作業)で行っている担当者の方も多いので、まずはこの辺りからデジタル化の検討をおすすめします。

デジタル化がまだ進んでいないと思われるが、今後期待できること

お金に関する部分は経営者個人がすべてを管理・把握している場合も少なくありません。万が一のことを考えて、他人の手や目が入らないようにし、情報共有せずに機密保持する経営者は多いです。

ただデジタル化することで、お金にまつわる手間を削減したり、出入金の流れを把握したりしやすくなるのは間違いありません。たとえば企業間の請求から支払いをデジタル化すれば、売上の管理や入金チェック、未入金の催促などを自動化・省力化できるからです。

デジタル庁の登場により、デジタル化することのメリットをこれから感じられるようになるでしょう。マイナンバーカードで身分証明やオンラインでの行政手続き、確定申告が可能になるだけでなく、健康保険証としての使用や、パスポート申請などの手続き簡略化なども予定されています。 身近な部分で恩恵を受けられればデジタル化への意欲が高まりますし、経営者・経理担当者個人がデジタル化へのマインドチェンジをして、デジタル化を推進していければいいと思います。