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ジャーナル

株式会社MJS Finance & Technology | エムエフティー(MFT)

経理担当の約7割が、
業務過多を課題と感じている



経理理担当者の約7割は経理で働く自分が好きで、仕事に誇りをもって取り組んでいることが調査で判明しています。
ですが、実際は業務過多になっており、不満を感じている経理担当者も少なくないようです。この状態が長く続くと30代で転職を考えてしまう人もいるので、業務効率化と改善は必須と言えます。
実際の経理業務のどの部分が業務過多になっているのでしょうか? 多くの企業は負担が増えがちな経理部門に対してどのような改善を行っているのでしょうか?
複数の調査会社が企業の経理部門が抱えている問題をピックアップしています。今回は経理担当者が実際の業務のどの部分を大変と感じているか、さらに多くの企業が取り組んでいる経理部門の業務効率化について解説してみました。

経理で働くのが好き、でも業務過多が問題に

経理担当者の約7割が「経理として働く自分が好きで、誇りを持って業務に当たっている」ことが、経理担当男女852名を対象にした「キャリアに関する意識調査」で明らかになりました。

(引用:株式会社ラクス「キャリアに関する意識調査」)

「経理/財務として働く自分が好きか」という質問に対し、76.1%の人が「好き」と回答しています。さらに「経理/財務として働く自分に誇りを持っているか」という質問にも、72.5%の人が「誇りを持っている」という結果が出ました。

事務処理能力が身に付くのが魅力

また「最も自信を持っているビジネススキル」についても調査が行われています。経理担当者が最も自信があるのは「事務処理能力」が35.9%、次いで「コミュニケーション力」が11.4%と判明しました。

(引用:株式会社ラクス「キャリアに関する意識調査」)


さらに「経理/財務のキャリア形成において魅力を感じる点」については、1位が「事務処理スキルが身につく」で44.5%、次いで「数字を扱うスキルが身につく」の40.7%、「経営者視点が身につく」が29.3%となっています。

(引用:株式会社ラクス「キャリアに関する意識調査」)

これらの調査から、経理担当者の多くは自分の仕事や事務処理スキルについて自身を持っており、肯定的な姿勢で業務に当たっていることがわかりました。

業務過多が、事務処理能力が身に付く原因?

一方で「仕事に対する不満を感じるとき」についての質問に対し、「業務過多のとき」が29.4%と、3人に1人が仕事量の多さに不満を感じていることが判明しています。

(引用:株式会社ラクス「キャリアに関する意識調査」)

さらに「業務内容で最も大変なことだと思うこと」については、「事務処理量が多い」が34.3%で1位、次いで「事務処理のフローが煩雑」が18.5%、「承認者とのコミュニケーション、調整」が13.5%という結果になりました。

(引用:株式会社ラクス「キャリアに関する意識調査」)


また別の調査として、経理担当者400人を対象にした「残業状況についての調査」でも、経理担当者の業務過多についての実態が判明しています。

決算月などの忙しい月以外の、通常業務を行っている一カ月の残業状況についての調査では、月末・月初めに残業しないといけない人の割合が6割以上になっていることがわかりました。

(引用:株式会社ラクス「残業状況についての調査」)


繁忙期ではない通常の一カ月では、月中の「残業の日が続く」「残業が時々ある」「残業がたまにある」と回答した人は合計43.8%だったのに対し、月初め・月末になると57.1%・59.6%と、どちらも20%以上増加していることがわかりました。

これらの調査から、経理担当者の多くは自分の仕事についての誇りを持っているのですが、普段の仕事量や月初・月末の残業の多さについて不満を感じている人が多いのが現状です。

経理業務の中でネックなのは業務量と非デジタル化

経理担当者が業務量の多さを不満に思っている状況の中で、残業の原因になっているのが「月次決算」、「伝票入力と管理」「各種集計」だと、「経理担当者400人を対象にした残業削減の取り組み」で明らかになっています。

(引用:株式会社ラクス「経理400人に聞いた 残業削減の取り組み」)

残業の原因になっている業務内容1位は「月次決算」で41.8%。次いで「伝票・帳簿の入力・管理」が38.0%、「各種集計」が35.8%となりました。

さらに経理担当者を悩ませているのは、残業しないと処理しきれない経理業務の多くが出社しないとできないため、新型コロナウイルスの影響下にある現在でもリモートワークがしにくいことです。

2021年1月に行われた、企業の経理担当者206名への「受発注業務・経理業務・情報システム業務の実態調査」で、請求・会計業務が抱えている課題が浮き彫りになりました。

(引用:株式会社テクノスジャパン「受発注業務・経理業務・情報システム業務の実態調査」)

1位が「出社できないとできない業務が多い」の55.8%、次いで「月末に業務が立て込む」の50.0%、「伝票等のチェック作業で依然として目視作業が多い」が47.1%となっています。

さらに、一般社団法人日本 CFO 協会が2020年3月~4月に実施した「新型コロナウイルスによる経理 財務業務への影響に関する調査」でも、テレワークを実施できていない企業の最大のネックとして「請求書や証憑などの紙の書類がデジタル化できていない(77%)」があり、紙のままで処理している部分をデジタル化する必要があると言えるでしょう。

生産性の高い企業はIT投資・業務効率化に積極的

経理部門の業務過多を解消するために、生産性の高い中小企業はIT投資を行い、業務の効率化に積極的に取り組んでいます。

経済産業省が2020年7月に発表した「中小企業のデジタル化に向けて」では、生産性の高い中小企業はIT投資や設備投資等に積極的で、一人あたりの賃金が高い傾向にあることがわかりました。

(引用:経済産業省「中小企業のデジタル化に向けて」)


さらに同調査では、近年クラウドサービスを導入している企業が急激に伸びていることも報告しています。

2007年には中小企業全体の10%にもクラウドサービスを導入していなかったのですが、2016年には50%とほぼ半数が導入済み。またインターネットバンキングの利用率も約5年で10%上昇しています。

これらの背景には、安くて使いやすいクラウドサービスが普及したことにより、規模の大きくない中小企業でも少ないコストや労力でデジタル化が可能になり、生産性の向上が可能になったことが挙げられます。

さらに現職経理担当者500名に聞いた「業務改善方法、仕事への取り組み方レポート」では、70%以上の企業が業務時間を減らすための活動に取り組んでいることがわかりました。

(引用:株式会社ラクス「業務改善方法、仕事への取り組み方レポート」)

57%の企業が業務時間を減らすための取り組みを行っており、16%の企業も「これから取り組む予定」と業務効率化に積極的な姿勢が見てとれます。

(引用:株式会社ラクス「業務改善方法、仕事への取り組み方レポート」)

また業務効率化で行っている具体的な方法についての調査では、「経費精算システム、請求書発行システム、入金消し込みサービス等を導入している」と答えた企業が55.1%と半数以上を占めています。

クラウドサービスの中でも低コストで導入しやすい部分であり、まずはこの辺りの業務効率化から取り組む企業が多いことがわかりました。

経理担当者の満足度を上げないと離職につながる

経理の仕事に誇りを持っている担当者が多いにも関わらず、業務過多についての不満を解消しないと、離職につながる可能性があるので注意すべきです。

30代で転職を経験した203人を対象にした「転職理由や転職で失敗したこと」についての調査では、転職理由のトップは「待遇や職場環境への不満」になっています。

(引用:株式会社ビズヒッツ「30代の転職に関する意識調査」)

203人のうち52人なので、約25%の人が待遇・職場環境への不満で転職を決めたことがわかります。

もし今の段階で経理業務のIT化や業務効率化を行っていないのであれば、できるだけ早く対応し、職場環境の改善に努めるべきでしょう。

現在はIT導入に対して補助金の仕組みがあるので、積極的に利用してクラウドツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。